誓約付き!?期間限定の同居生活~不仲なはずの狼系ドクターは、義妹を寵愛する
― 12月に入り ―

暖かい日が続く今年は、クリスマスがもうすぐだとは思えない季節だった。

ガチャンッ!
キッチンで片付けをしている時に手が滑って、カップを落としてしまった。
そ、それも、先生がいつも使っている、お気に入りのカップが・・・

慌てて、素手で片付けようとした時、痛っ!と思った瞬間、指に一筋の赤い筋が・・・
それよりも・・・どうしよう・・・先生のカップ・・・

「何だ、今の音?」
「す、すみません!先生のカップを割っちゃって」
頭を命一杯下げて、謝った。

「顔を上げろ」
きっと般若のような顔で、雷が落ちるのを覚悟して、恐る恐る顔を上げた。
「怪我は無かったか?」
思っていた反応と違って戸惑ってると、
「手を見せろ」
近づいて来て、私の左手首を掴んだ。

「怪我してるじゃないか!」
「慌てて拾ったら、切っちゃって・・・でも大丈夫です。これくらい」
「医者の俺に言うセリフじゃないぞ。少しの傷でも安易に考えるな。片付けはいいから、こっちに来い」
先生は傷口を流水で洗浄して、
「破片は入ってないな」
と、部屋から持って来た箱を開けて、止血をした後、処置をしてくれた。

「ありがとうございます」
「怪我をしたり、体調が悪かったら、直ぐに言うんだぞ。せっかく家に医者がいるのに、遠慮するな」
先生の意外な言葉に固まっていると、
「聞いてるのか?」
冷たい視線が、突き刺さる。

「はい・・・あの、カップは弁償します。同じのは無いかもしれませんが・・・」
「まだ他にあるから気にしなくていい。後は俺が片付けるから」
「でも、先生が怪我したら」
「美来と一緒にするな。それに、また怪我でもされたら困るしな。次、怪我をしたら、治療費、貰うぞ?」

前なら、やっぱり意地悪だって思っていたけど、先生の優しさだっていうのが分かる。
挑発する言葉を言ったのは、私に気を使わせないため・・・

「た、高い治療費を請求されそうだから、お言葉に甘えます」
私は、部屋に入って、ドアを閉めた。
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