誓約付き!?期間限定の同居生活~不仲なはずの狼系ドクターは、義妹を寵愛する
ベッドに座って絆創膏を見つめる。
先生の大きな手は、手際よく処置をしてくれた。

あの手は、どれだけの患者さんを助けて来たんだろう・・・
そして、どれだけの患者さんの人生を背負ったんだろう・・・

きっと、助けられなかった命もあったはず。
ため息をついて帰って来た時、私はただ不機嫌なだけと思っていたけど・・・

夜中に目が覚めると、テーブルにはたくさんの本が無造作に開いたまま、先生は眠っていた。
そっと、ブランケットを掛けると、目がパチッと開いて、
「美来?・・・そうか、家か・・・ありがとう」
そう言って、安心したようにまた目を瞑っていた。

医師の働き方改革が始まったとはいえ、救急は予想出来ない。
特に難しい手術や緊急オペがあると、アドバイスの連絡が入り、気になって家を飛び出してしまう。

直ぐ駆けつけることが出来るように。
それが、ここのマンションを決めた理由・・・
「体が勝手に動いてるんだ」
天真先生らしい言葉だった。

ようやく分かってきた。
天真先生を皆が慕う気持ちが・・・

先生の何気ない優しさに触れる度に・・・
先生の心の強さと弱さを知る度に・・・
私の心が揺れ始める。
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