【完結】あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~
麻那人の右手から黒い闇が丸く出現し、それを裏山の森の茂みに打ち放つ。
「出てこい!」
もう二発、連打すると茂みから空に向かって鳥のように何かが飛び出てきた。
しかし空には麻那人の結界がある。
そいつは飛び上がれずに結界内を逃げ惑う。
「逃がすわけがないだろう」
「うがぁ!?」
背中を向けた悪魔を追いかけ麻那人も飛び、悪魔の背中に術を放つと公園に墜落していった。
麻那人が公園に降り立つと、牙のびっしり生えたゴブリンのような顔をした人間型悪魔が麻那人をにらみつけ立っていた。
「……一体……なんなんだ……お前はぁ……」
「お前は脱獄悪魔のザボだな?」
冷静に麻那人が言う。
「なんなんだぁ……てめぇはぁあの娘っ子の隣にいたガキ……? いや、まさか……なんなんだ?」
人間の姿で光の隣にいたのが同じ麻那人だとは思えないようだった。
悪魔が人間の姿になるのは超高等魔術だからだ。
「さぁ? 僕はただの悪魔だよ」
「ガキぃ……俺の獲物だ……仲間の悪魔が横取りなんてするんじゃねぇよ……」
「仲間……? お前と僕が、仲間だなんて冗談じゃないよ」
「年上に対する礼儀を知らねぇ……ガキめ……よくも……」
ザボは怒りに震えているようだ。
そして右腕は、ギラギラとするどく光る巨大な剣のようになっている。
「……力を取り戻したのか……?」
「へへへへ……そうさぁ……此処の山はなぁ……へへ、教えねぇよ」
やはり、この山には何か不思議な秘密があるのだろう。
麻那人も裏山を結界でおおっているが、何か普通とは違う圧力を感じる。
裏山自体から何か力を感じるのだ。
これがザボに過剰に力を与えた原因なのだろう。
「まぁ裏山の事は今はどうでもいいよ……ザボ、悪魔界へ戻ってもう一度檻に入れ」
「なんだとぉ?」
「しっかり自分の罪を償え」