推しにおされて、すすむ恋
離れないと――って体を離したくても、ビクともしない。
「あの」って玲くんを見ると、嬉しそうな顔が視界に入る。
「目の前で、あんな口説き文句を言われて。俺が離すと思う?」
「え、」
「諦めてね。あと五分は、このままでいるから」
「えぇ⁉」
言うや否や。
ギュウっと、抱きしめる手に力を込める玲くん。
ひいい!
嬉しいけど、もう心臓がもたないよ!
「(っていうか、皆にはバレてないよね⁉)」
今まで自分のことで精いっぱいだったから、周りを見る余裕はなかった。
もしも、この光景を見られていたら――と焦ったけど。
三人とも編集のためか、私たちに背中を見せてパソコンと向かい合っていた。良かった!
「(あ、そう言えば……)」
肝心なことを言い忘れていた。
「玲くん、もし私がNeo‐Flashに入りたいって言ったら……嫌?」
「入りたいの?」
もうヤタカに脅された?と、一ミリもメンバーを信用してない玲くんに、思わず苦笑が浮かぶ。