推しにおされて、すすむ恋


「動画バカは、ヤタカだけでいいのー」
「わ、私も動画撮りたいよ!」

「ステラは壊滅的に撮影が下手だからなぁ」
「そうそう。ってわけで諦めて」


えぇー……。
お姉ちゃん、そんなに撮影が下手なんだ……。

記念にと思ったけど、残念。動画では使えないネタ(俺ら)だからって、撮影却下されちゃった。


「(でも、嬉しいな)」


撮影できないのは残念だけど、さっきのやりとりで、リムチ―との心の距離が縮まった気がする。

キッチンにいた時は険悪な雰囲気だったけど、今は普通に話せてる。少しだけ仲良くなれたと、思っていいよね?


「ねぇ、リムチ―」
「なに」

「よければ今度、撮影の仕方を教えてくれる?」
「!」


最初こそポカンとしたリムチ―だけど、引き下がらない私を見て、諦めたらしい。


「悪いけど、センスない弟子にはスグ見切りつけるからね」


鼻で笑われたことも気にせず「頑張る!」と返すと、ヤタカとノアが笑い始める。この場が一気に、和やかな雰囲気に包まれた。


「あーバカらし。お腹空いた、さっさと食べよーよ」
「そうだね、温かいうちに。皆で一緒にね」


揃って「いただきます」をした後。
和気あいあいと話しながら、ライブ配信を開始した。



✧。*


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