チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~

本当に、真実を知らないという事は恐ろしいものである。


天下の葵の印籠を前にして頭ひとつ下げないのは、日本広しと言えども、朝廷と将軍、そしてこの4人ぐらいなものであろう。


しかも、シチロー達ときたら、目の前の三人をまじまじと眺めて、こんな失礼な発言さえするのだ。


「しかし…何だってこんな無名の役者なんて使うのかね…視聴率ガタ落ちするぞ…」


「御老公の迫力がもう少し欲しいところね…」


「セリフも今ひとつ。
演技力の勉強が必要ね」


これにはさすがの格さんもまいってしまった。


この印籠で、ひれ伏さなかった輩など今まで誰ひとりだっていなかったのに…その心境は、必殺技のスペシウム光線が通用しなかったウルトラマンによく似ている。


(そういえば、この連中の着ている派手な着物…もしやこれが、何物にも束縛されず己の生き方を貫く事を信条とする『傾奇者(かぶきもの)』なる者なのか…)



【『傾く』とは、異風の形を好み、異様な振る舞いや突飛な行動を愛する事をさす。そして、真の傾奇者は、己を美しゅうする為には命をも賭したという…】

※─花の慶次─より抜粋


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