桜の華 ― *艶やかに舞う* ―
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ひとしきり両家両親たちに桃の担当医としての助言をするも、
少しも響かない両家家族に女医は通達する。


「これで今回の面談は終了といたします。
皆さまご苦労様でした。

では面会の時間もこれにて終了としますので私と一緒に病室を出て
どうぞお帰りください」


そう言うと、女医は病室の桃にまだ未練を残している母親や姑、
そして男親たちを連れてさっさと病室を後にした。


そしてそのまますぐに彼らを帰すことはせず、話のできるスペースへと
4人を誘った。

夫とは一緒にはいられないと訴える桃に……
一緒にはいたくない夫との結婚生活を、周囲の無理解と自分たちの都合を
優先させるエゴから来る無協力のせいで、悲しみを抱えたまま過ごさなければ
ならなかった桃のこれまでの経緯を知り、激怒していた女医は、病室で語った
セリフに続き、家族に対して改めて叱責の檄を飛ばしたのだった。



「あなたたちの冷たい無理解な対応が今回のことを招いたのですよ。

これ以上彼女の意志を無碍にし続けると症状が悪化するでしょう。
もう彼女を夫から、そしてあなた方から解放してあげましょうよ。

即刻、離婚させてあげてください」


確かに世間体や、自分がしんどいことに巻き込まれたくないという思い、
4人それぞれの思いがあり、それぞれが自分ファーストに動いていたのだ。


今回女医にそこのところを突かれた形になり、4人ともようやくここにきて
離婚やむなしと納得し受け入れたのだった。



療養一週間後に私は、女医から両家家族全員が夫と言われる人との離婚を
認めたと聞かされた。



「先生、ご尽力ありがとうございます、ほんとに……あり……」


言葉に詰まる私の頭をそっと包み込むようにして女医がポンポンしてくれた。


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