戦略的恋煩い
「俺と付き合う?」

「律輝の気持ちは分かったし、付き合いたい気持ちは山々だけど、今返事出したら決め手が年収みたいで嫌だ」

「大丈夫、年収も立派なアピールポイントだから」


 私は気にするけど、律輝は私と付き合えるならなんでもお構いなしのようだ。そこまで固執するほど魅力的かといわれたら、その辺は謎だけど。


「……まだ悩むポイントある?」


 律輝はお手上げのようで口をとがらせ首を傾げる。始めて見る表情だ、刺激が強い。


「律輝って意外だよね、クールなのに結構ぐいぐい来るっていうか……」

「クールだからって好きな人に対しても同じ態度とは限らない」


困った私は話題変換を試みたけど、律輝は素早くレスポンスして、なおかつ距離を縮めて徐々にベッド側に追い詰める。

バランスを崩して尻もちをつくようにマットレスに腰を落とす。律輝は私の肩を掴みゆっくりシーツに沈めた。


「小夏、好きだよ」

「……知ってる」

「俺の顔見て言って」


 瞳に劣情をにじませて笑う律輝。この豹変具合に相変わらず慣れない。だけど数あるギャップの中で特に好き。普段は見えない好意の熱量を感じ取ることができるから。

 相反して、私の肌を触れる指先は冷たい。その温度差を覚えた私の体は、触れられただけで熱を帯びてしまった。


「俺がいないとだめになるほど溺れさせたら、さすがに逃げない?」

「逃げようなんて思ってないから、お手柔らかに……!」

「やだ」


 普段は無頓着、もしくは従順。だけど情事には嘘みたいな執着心で意地悪しては反応を楽しんでいる。

 キスを受け入れてしまえば一貫の終わり。丁寧な愛撫に流されて最終的には律輝の熱を受け入れてしまう。

否、受け入れるしか方法がないほど快楽の底に突き落とされてしまうのだ。
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