熱の城
「おはよう藤乃ちゃん、今日も早いね」
あれ?
「あっ、おはようございます、平井さんこそ早いですね、……遠方へ出張ですか?」
この時間に営業さんがいるなんて、めずらしい。
「うん、今から福岡まで飛ぶ予定、資料と置いておいたコロコロを、取りに寄ったんだ」
「わぁ、福岡ですか? 美味しいの期待してます」
「あはは……♪ 『通りもん』でいい?」
「はい、みんな喜びます」
一年先輩の平井さんは、タイガーの次に営業成績のいい営業さんだ。
スマートで優しくて、感じがよくて、話しやすい。モチロン彼女がいるけれど。
「あっ、オハヨー芽依ちゃん、さっき鈴木主任が探してたよ?」
ドキンッ
名前が出ただけなのに、また、昨日のことを思い出して緊張してしまう。