熱の城
「―――…じの?」
「……」
「藤乃?」
「……えっ?」
我に返ると、心配そうにわたしを見つめる、鈴木主任の顔がすぐ近くにあった。
「えぇっ!? ……あれ???」
わたしは慌ててまわりを見回して、自分がトリップしてしまってたことに気付く。
や、ヤバいよ。大丈夫? わたし。
専属になって初の顔合わせなのに……。
「料理が冷めるよ? このメニュー苦手だった?」
「と、とんでもない! 大好物です」
慌ててわたしは、パスタをすくい頬張った。思ったより多く口に入ってしまい、もごもごと噛むのが中々苦しい。
「……藤乃は、思ってたより豪快に食べるんだな」
吹き出すように、笑われてしまった。
うぅっ、それは誤解です。
変な意味で緊張が解けて、何気ない会話を楽しみながら料理を食べ終えると。
「早速だけど、仕事の打ち合わせしていいかな?」
「はい」