熱の城

「彼なんて、いつ別れるかわかんないじゃん」


 はい?

 わたしは、思わず食べるのを止めて、みるくを見つめた。


「あんなイイ男が独身で、毎日目の前にいて、お世話出来ちゃう状況、しかも相手からのご指名付きなんだよ? 彼なんて色あせて見えちゃうわよ、きっと」

「お世話するのが、補佐の仕事なんだけどね……」

「そこがいいんだよ~、芽依が羨ましい! ウチなんて経理だからオジサンと女の子ばっかでドキドキがないのよ」

「はぁ……?」


 恋とか愛とか、語らってるヒマがないくらい、今まで仕事を覚えるのに必死だったんですが?


「だからね? このチャンスをなんとしても生かして…―――」

「……」


 そんなんでドキドキ出来るほど甘くない状況なんだけど、楽しそうに話すみるくが可愛いから、わたしは黙って聞いていることにした。


「―――…そう言えば、今日タイガーとは、どうだったの?」



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