熱の城
「えぇっ、と、……朝から取引先に直行で、会ってないよ?」
「えっ? 初日から挨拶なしなの? 今日からだったんでしょ?」
「うん、そう言うの珍しくないよ? 営業さんはお客様第一だし」
むしろ忙しいのに、わたしのデスクに仕事のファイルと指示を書いたメモ書きが、たくさん貼られていたことに驚いた。
綺麗に仕分けて置かれたファイルの山、無駄のない指示、それを見ただけで、彼が仕事の出来る人だとわかってしまう。
「……」
とてもわかりやすくて、彼がいなくてもそのメモを見ながら、午前中の仕事をこなすことが出来た。
「あ~ん、タイガー情報聞きたかったのにぃ~!」
みるくが悔しそうに、サンドイッチをかじって言った。
「あはは……」
みるくもタイガー狙いだったのかな?
今までの彼とは、雰囲気、全然違うけど?