熱の城

「飲んでいる相手に合わせた色合いで用意してもらっているんだ、ジンジャエールの時もあるし、緑茶やウーロン茶、アクエリの時もあるかな?」

「……っ」


 でも、……何一つ、オーダーの時にそんなこと、言っていなかったのに? なおも困惑するわたしに、鈴木さんは小さな声で種明かしをしてくれた。


「営業の接待で、お得意先が酔っ払った時に送る為の秘密兵器なんだ、前もって色々頼んでいるんだよ?」

「……」

「あまりカッコイイことじゃないから、内緒にお願いします」


 そう言って人差し指を立てて内緒ね、のポーズをとった。急にそこだけ真顔だったから、思わず吹き出してしまう。


「だから安心して?」

「……はい」


 その仕草がとても可愛らしくて、わたしは、笑いが止まらないまま頷いた。



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