熱の城

「うん、大学時代の友達が住んでたからな、学校帰りに良くたまり場にしてたよ」

「あっ、わたしも、大学が近くだったから、そのまま住んでる感じなんです」


 さすがにたまり場には、されませんでしたが……。

 へんぴな所だから、知ってるだなんて驚きだったけど、お友達が住んでいるなら納得だ。


「藤乃って、出身地、都心に近くなかったっけ?」

「はい、C県何ですけど、一人暮らしをしてみたくて……」

「へぇ、一人暮らしか、寂しくなかった?」

「最初の三ヶ月は寂しくて泣いてました、友達も出来ましたし、会社にも近くて、今はこっちの方が全然気楽です」

「そうか……」


 薄暗い車内、前の景色を見ながら続く会話が、まるで別世界のように感じられて、ふと、訪れる沈黙を寂しく感じた。



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