熱の城

 もう直ぐ、会える…―――


 息を整えてからカフェの前に立つ、ドアを開けようとした、その時。


「藤乃」


 !!??

 一番聞きたかった声に呼ばれて、振り返ると、ガードに寄りかかった鈴木さんが、静かにたたずんでいた。

 あっ……。

 彼の姿を見た瞬間、身体中が熱を帯びたように熱くなっていく。


「……っ」


 嬉しくて、苦しくて……、胸がいっぱいで、言葉が出てこない。


「……身体の方は、平気だったか?」

「……」


 穏やかで優しいトーン、タイガーの声に頷くのが精一杯で……。


「遅刻しないで、会社に行けたか?」

「……っ」


 彼の言葉に頷いて、ふらふらと鈴木さんに近づくわたしの身体が、自分のものじゃないみたいだった。


「……どうした? 藤乃、大丈夫か?」



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