熱の城

 ドキドキと制御できない心臓の音。自分を見失うような行動と言動。

 初めての、恋みたいじゃない?

 まるで、初めて誰かを好きになって、ドキドキと鼓動があわただしくて、何もかも下手くそで純粋で、あなただけに夢中で…―――

 みんな、みんな、あの夜の、あなたのせい。

 わたしは、すべてを観念した気持ちで、息をついてタイガーを見上げた。


「鈴木、さん……」

「うん……?」


 好き、です。


 真っ直ぐにそらさない瞳で、心の中で告白する。今は、伝えることは出来ない言葉。

 まだ、彼と別れていない、わたしからは言ちゃいけない言葉。あふれそうな気持ち、すべてで、あなたを見つめた。見開く彼の瞳の中に、わたしの顔が映っているのが見える。


「……藤、乃?」


 好き…―――


「……っ」


 苦しそうに顔をゆがめて、タイガーは強くわたしの身体を、更に強くかき抱いた。



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