神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜
…嘘だろ。このタイミングで?

「ふわぁ〜…。何だか、凄く長い夢を見てたたような気がする…」

ベリクリーデは全裸のまま、大きなあくびをした。

…お前、自分が今、裸だってことに気づいてるか?

「…でも、夢の中でね、ジュリスにいっぱい抱っこされてた気がするの」

「…」

「ジュリスの腕の中…すっごくあったかかった。私、ちっとも怖くなかったよ」

「…」

「えへへ。何だか照れ臭いね」

上機嫌に微笑むベリクリーデ。

…なぁ。

俺、なんか悪いことでもした?

「…ほらぁぁぁ!やっぱりヤッてんじゃねぇか!」

すかさず、キュレムが俺の背中をげしっ、と飛び蹴り。

いってぇ。

「違うっつーの!俺は何も…!」

「ジュリスさん、潔く認めましょう。見苦しいですよ」

ルイーシュまで。

「俺はただっ…ベリクリーデに、添い寝してやってただけで…!」

「うわぁ…。この期に及んで言い訳してる。…最低ですね」

「まったくだ。勤務時間中に、まったくけしからん奴だ!」

だから、違うって何度も…!

「ジュリスはベリクリーデとお楽しみらしいから、今日の会議はサボるらしい、ってシュニィに伝えといてやるよ。クビになってしまえ!」

「ちょ、まっ…!」

キュレムは、捨て台詞のようにそう言って。

ばたん!と勢いよく扉を閉めて、出ていってしまった。

…。

…残された、俺とベリクリーデ(全裸)とルイーシュ。

しばしの沈黙の後、ルイーシュがくるりと振り向いた。

「ジュリスさん」

「…何だよ」

「お子さんは、女の子でよろしくお願いしますね」

ふざけんな。そんな予定はねーよ。

「それじゃ、賢者タイムが終わったら、服を着て会議室に来てくださいね」

と言って、ルイーシュが部屋を出ていった。

誰が賢者タイムだ。

…。

…で、残された俺とベリクリーデ(全裸)。

「…?」

きょとん、と首を傾げているベリクリーデ。

…お前のせいでエラい目に遭ったよ、俺は。

だけど、ベリクリーデを責めてもどうにもならないし。

…元に戻って良かった。

「…とりあえず、ベリクリーデ」

「なぁに?」

「今後絶対、道端になってるキノコを食べるな。絶対だ」

俺との大事な、大事な約束だからな。









END

< 397 / 562 >

この作品をシェア

pagetop