一生分の愛情をもらいました。
プロポーズから数週間後、二人は小さな結婚式を挙げた。
家族や友人たちに祝福されながら、華は純白のドレスに身を包み、隼人と並んで誓いの言葉を交わした。

華の頑張りや二人の絆を知る人々は皆、涙を浮かべながら二人の幸せを心から願った。

隼人は結婚式の最後に、華にだけ聞こえるように囁いた。
「君がいる限り、俺はどんな困難も乗り越えられる。これからもずっと、一緒にいよう。」

華はその言葉に笑顔で応え、彼の手をしっかりと握り返した。

二人の新しい日々は、これからさらに温かいものになっていくと信じていた。どんな未来が待ち受けていようとも、二人ならきっと乗り越えられる――そんな確信を胸に、二人は共に新たな一歩を踏み出した。



結婚式を終えた夜、二人は手を繋ぎながら、静かなホテルの部屋で新たなスタートを迎えた。
華はまだドレスのままで、隼人と向き合い、少し照れくさそうに笑った。

「こんなに素敵な日が来るなんて、思ってもみなかった。」
華は、涙を浮かべながらも穏やかな顔をしていた。隼人はその言葉を受けて、彼女の手を優しく握りしめた。

「俺もだよ。君と一緒にいられるだけで、こんなに幸せだ。」
隼人の言葉には深い愛と、これからの未来への覚悟が込められていた。

二人はその夜、結婚式で交わした誓いの言葉を再度心の中で確認した。華が過去にどれだけ苦しんできたか、そして今、こうして彼女と並んでいられることの尊さを、隼人は何度も噛み締めていた。



新婚生活が始まったばかりの華と隼人は、幸せな日々を過ごしていた。
温かな家庭で過ごす毎日は、二人にとってかけがえのない時間であり、華は隼人の愛に包まれていることを実感していた。
しかし、次第に心の中に小さな不安が芽生え始めた。

「本当に、私たちには子供ができるのだろうか?」

ある晩、食事を終えた後、華はその不安を隼人に打ち明けた。二人の間にはまだ子供の話をすることはなかったが、華の胸の中ではそのことが日に日に重くなっていた。

隼人は少し驚きながらも、静かに華の手を握り、目を見つめた。
「華…君が不安に思っていること、分かるよ。でも、君と一緒にいられるだけで俺は幸せだし、君が何を決めても俺は全力で支えるよ。」

華は隼人の言葉を聞き、涙がこぼれそうになるのを堪えた。

「でも、私…どうしても子供が欲しいと思ってしまうの。」
華は続けて言った。

「二人で、もっと多くの時間を分かち合いたい。隼人さんと一緒に子供を育てることを夢見ているんだけど…私がうまくいかないんじゃないかって、そんな不安がずっと頭を離れなくて。」

隼人は優しくその言葉を受け止め、少しの沈黙の後、静かに答えた。

「華、俺たちには時間があるよ。急ぐことはないし、何より君の気持ちが大事だと思っている。俺たちは一緒にいるだけで素晴らしいから、子供ができるかどうかなんて、今は考えなくてもいいんじゃないかな。君が元気で幸せなら、それが一番だよ。」

その言葉に、華は少し心が軽くなった。隼人がいつも自分を支えてくれていること、そして何より彼の言葉がどれだけ心強いものかを再確認した。

数週間後、華は心療内科の医師に相談し、検査を受けることに決めた。医師は、体調が戻り、精神的な安定を保つことが大切だとアドバイスをくれた。

「無理に急がなくても大丈夫ですが、心と体が健康であれば、自然にその時が来るはずですよ。」
医師の言葉に、華は少しずつ安心感を覚えた。

隼人も、華を支えるために一緒に積極的に健康管理をしていた。二人で散歩をしたり、心地よい時間を過ごす中で、華はだんだんと心を落ち着けていった。

ある日、隼人が帰宅すると、華が嬉しそうに小さな箱を持っていた。
「これ、見て。」
華はにっこりと笑って、隼人にその箱を差し出した。

隼人は中身を開けると、そこには一組のベビーシューズが入っていた。
「これ、どういうこと?」隼人は驚きながらも、優しくそのシューズを手に取った。

華は恥ずかしそうに言った。
「私、まだ子供を持つことが怖かったけど、今はその時が来たら、きっと大丈夫だって思えるようになった。これが、私たちの未来への小さな希望だよ。」

隼人はその言葉に胸が熱くなり、自然に彼女を抱きしめた。
「華…君となら、何も怖くない。どんな時も君と一緒に歩んでいく。」


華の不安は完全に消えたわけではなかったが、彼女は少しずつ心を開き、未来に対する希望を持ち始めていた。隼人の支え、そして自分自身の努力が、少しずつ華を強くしていった。

二人の生活は以前と同じように穏やかでありながらも、どこか新たな一歩を踏み出す気持ちを胸に抱いていた。隼人は、どんな形であれ、華が幸せでいることが一番だと改めて感じ、彼女を支え続けた。
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