一生分の愛情をもらいました。

新たな生命

ある日、華はいつものように朝の仕事を終えた後、ふと感じた違和感に気づいた。体調がいつもと少し違う。
少し疲れやすくなった気がして、食欲もわかず、軽い頭痛も続いている。
それでも最初は気のせいだと思い込んでいたが、心の中で何かが引っかかっていた。

隼人も最近、華の体調を気にかけていた。今日は特に元気がないように見え、少し心配していた。彼女が少しでも楽になるようにと、夕食を手早く準備していたが、その途中で華がふと立ち上がり、トイレに駆け込んだ。

「華、どうした？」隼人は心配そうに駆け寄ったが、華は何も言わずにただ静かに振り返った。

数分後、華が戻ってきたとき、手に一本の検査薬を持っていた。
隼人は驚きながらも、彼女の顔を見つめた。その顔には少しの不安と、それ以上の期待が隠れていた。


「これ、どうしても気になって…」華は手に持った検査薬を隼人に差し出した。隼人はその瞬間、胸が高鳴り、息を呑んだ。

検査薬に現れた結果を見て、二人は言葉を失った。陽性のラインがしっかりと浮かび上がっていたのだ。
「これって…本当に？」隼人は驚きのあまり、声が震えていた。

華もその結果を見つめ、驚きと喜びが入り混じった表情を浮かべた。少しの沈黙の後、華は静かに言った。
「隼人さん、私、妊娠したみたい…。」

その瞬間、隼人の胸の中で何かが溢れた。嬉しさ、感謝、そして少しの不安。すぐに華を抱きしめると、涙が自然にこぼれ落ちた。

「本当に、華…？俺たちに、赤ちゃんが？」

「うん…。」

華の言葉に、隼人は深い安堵を感じた。そして彼女をしっかりと抱きしめながら、心の中で誓った。
「君と一緒に、この子を守り育てる。それが俺のこれからの生きがいだ。」

華も隼人の胸に顔をうずめ、温かさと安心感に包まれていた。二人はこの瞬間、自分たちが新しい命を迎える準備をしていることを強く実感していた。


その日から、二人の生活はさらに特別なものになった。華は体調に気を付けながらも、できるだけ普段の生活を送るようにしていた。隼人はそんな華を支えるため、さらに心配りをし、どんな小さな変化にも気づくように心掛けた。

「大丈夫？無理してない？」

「ちゃんと食べてる？」

「今日はちゃんと寝たほうがいいよ。」

隼人の優しさに、華は何度も心が温かくなった。彼女もまた、隼人に支えられていることを実感し、ますます自分の中で母親としての意識が芽生えていった。

そして、数週間後、医師から正式に妊娠が確認されたことを告げられた。二人はその知らせを心から喜び、今まで以上にお互いを大切にしようと誓い合った。

「俺たち、すごく幸せだね。これからもずっと一緒にいてくれる？」
隼人が優しく華に問いかけると、華はにっこりと笑って答えた。

「もちろん、隼人さん。ずっと一緒よ。」

これから先、二人に待っているのは未知の世界だが、どんな困難も二人なら乗り越えられると信じて、未来に向かって一歩一歩進んでいくのだった。