空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
第三章

1 恋心と恐怖心

 合同訓練から一週間が過ぎた。
 異動して約一ヶ月。ホテルのオープンに向けて、毎日があわただしく過ぎていく。

 そんな中、私は仕事の行き帰りで海を見ては、凌守さんを思い出す日々を繰り返していた。
 少し前まで、海を見るのが怖かった。なのに、今は海を見るのが嫌じゃない。
 むしろ、ドキドキとして温かくて、幸せな気持ちになる。

 明日は彼と会う日だ。そう思いながら事務室で入力作業をこなしていると、不意に後輩に聞かれた。

「泊里さん、なにかいいことありました?」

 そんなに顔に出ていたのだろうか。

 その日の仕事終わり。ロッカールームで荷物を整えていると、凌守さんからメッセージが届いていることに気づいた。

【明日、朝九時頃にマルマロスビーチに来られますか? 動きやすい服装で】

 ドキリと胸が鳴り、慌てて周囲を見回した。誰かに見られていたら、また何か言われるかもしれない。
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