空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 そっと、ペンダントを握る手を開く。

 頑張らないと。
 改めてそう思いながら、しばらくそのトップに輝くガーネットを見つめていた。

 すると視線を感じ、顔を上げる。凌守さんはなぜか自信のなさそうな顔で、ペンダントを見つめていた。

「希望……。そうか、良かった」

 その言葉は、まるでなにかを噛み締めるように零される。

「はい。私は、あなたに救われた。あなたは、私のヒーローです」

 そう言うと、彼は顔を上げ目を瞬かせる。だけどしばらくして、私に優しく微笑んだ。

「とても、光栄です」

 その頬は、照れたように赤らんでいる。

「あなたにヒーローだと言ってもらえるなんて、嬉しすぎますね」

 告げられた言葉に、彼の照れ笑いのような表情に、胸が甘く疼いた。どうしていいか分からなくて黙っていると、凌守さんは私をじっと見つめてくる。
< 117 / 210 >

この作品をシェア

pagetop