空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 言いながら、体が震えた。涙があふれそうになるのを必死でこらえていたからだと思う。
 それでも、つらかったあの日々を脳裏に浮かべると、悔しさに再び目頭が熱くなる。

 自分のために泣く涙なんて、惨めだ。そう思ったのに、ほろりと一粒、涙がこぼれ出した。
 すると、次々に涙が溢れてくる。

「ごめんなさい、こんなこと」

 震える声で言いながら、必死に涙を袖口で拭う。
 惨めだし、恥ずかしい。こんなこと、彼に知られたくなかった。それでも、涙が止まらない。

「海花さん……」

 彼がぽつりと、私の名を呟いた。
 これは、軽蔑の意味なのだろうか。それとも、情け?
 優しさなら、受け取ってはいけない。私は、犯罪者の娘だから。

 ――そう、思ったのに。

「とてもつらい思いをされてきたんですね」

 凌守さんはそう言って、私をふわりと優しく、その大きな両腕で包んでくれた。
< 127 / 210 >

この作品をシェア

pagetop