空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 私は、この恋心に蓋をする。

 これだけ私の事を考え、『海を克服する』お手伝いをしてくれた。それだけで、十分すぎるくらいたくさんのものを、私はもらった。

 それに、麗波のことでこれ以上迷惑をかけるわけにもいかないし、海の犯罪者である父をもつ私が海上保安官の彼のそばにいるのもおこがましい。

 私は、彼から離れるべきなのだ。

 ――さようなら、凌守さん。

 離れていく彼の背中をずっと見ながら、心の中でそう呟いた。
< 137 / 210 >

この作品をシェア

pagetop