空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 彼の優しさに、心が温かくなる。このペンダントを持っていれば、本当に大丈夫なような気がしてくる。

「ありがとう、ございます」

 もう一度ペンダントを強く握りしめ、彼の目を見てそう言った。
 彼の気持ちが、素直に嬉しい。

「万が一の時は、俺たち海上保安官が救助に駆けつけます。だから、きっとあなたなら乗り越えられる」

 凌守さんの優しい言葉。私はそれを、高鳴る胸に刻みつける。

「はい。きっと、大丈夫です」

 同時に、私はある決意を胸に抱いていた。

 彼のこの気持ちは、彼が海から人を守る、使命感溢れる海上保安官だからだ。
 これだけ、気持ちをもらったんだから、大丈夫。私はもう、一人でも立っていられる。

「応援しています」

 凌守さんのその言葉に、私は笑みを浮かべる。

「はい」

 しっかりとそう答え、「じゃあ」と去ってゆく彼を見送った。
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