空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 慌てて膝を床につき、頭を垂れる。彼女と会う度にそうしてきたので、勝手に体が動いた。

 わざわざ探したことを告げてきた彼女に、これからされるだろうひどい仕打ちを想像し、体がぶるりと震えた。
 どうして乗っているのかと罵られ、踏みつけられる。きっと船を降りる頃には、私はボロボロになっているのだろう。

「いいわ、顔を上げなさい」

 しかし、聞こえてきた彼女の声は穏やかな口調だった。

 パーティーに免じて、今日は許してくれるというのだろうか。
 いや、そんなはずはない。では、一体なぜ?

 頭を下げたまま疑問を巡らせていると、麗波が再び口を開いた。

「ところでこれ、あなたの?」
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