空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 屋内のパーティーは盛り上がっているよう。時折聞こえる屋内の喧騒にため息をこぼしていると、ちょうど工事中の沿岸が見えた。

 あの場所は、私の家のあった場所だ。高校在学中に東海林さんたちの漁業組合は隣町に吸収合併され、この海岸は新しい港街として生まれ変わる計画が進められていた。

 もうずいぶんと埋め立てが進んでいる。それでも、私は亡くなった母を思い出し、胸が痛くなった。母はあの辺りにあった海岸から海に入り、男の子助けて命を落とした。

 泣いている場合ではないのに、思わず目頭が熱くなった。その時。

「こんなところにいたのね。探したじゃない」

 麗波の声がして、振り向いた。船内のホールから、彼女が出てくるところだった。
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