空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
「それに、『ボイラーのことは一番自分が分かっているから』と、最期まで火が回らぬうちにと乗組員の避難誘導を行っていたそうです。結果、一人だけ逃げ遅れることになった、と」
凌守さんの話は、そこで途切れた。ほろほろと、涙が溢れて来てしまったからだと思う。
父は『海の悪魔』なんかじゃなかった。母と同じように、海を愛し、海を恐れ、それでも最期まで皆の脱出のため、身を呈して船員の命を守ったのだ。
胸につかえていた、父に対するわだかまりが、綺麗に解けてゆく。
父は、ずっと私の大好きな、父のままだった。
「おとう、さん……」
脳裏に、幼い頃の父と過ごした毎日が蘇る。海が大好きだった、船乗りであることを誇りに思っていた、そして私の目指した、頼もしく優しい、父の姿だ。
思いだしては次々にあふれ出してくる涙を止められずにいると、東海林さんが突然声を上げた。
「定一が送検された時、俺は幸華とおかしいって訴え続けてたんだ。……けど、取り下げちまった。御船伊に、巨額の金をちらつかされて」
凌守さんの話は、そこで途切れた。ほろほろと、涙が溢れて来てしまったからだと思う。
父は『海の悪魔』なんかじゃなかった。母と同じように、海を愛し、海を恐れ、それでも最期まで皆の脱出のため、身を呈して船員の命を守ったのだ。
胸につかえていた、父に対するわだかまりが、綺麗に解けてゆく。
父は、ずっと私の大好きな、父のままだった。
「おとう、さん……」
脳裏に、幼い頃の父と過ごした毎日が蘇る。海が大好きだった、船乗りであることを誇りに思っていた、そして私の目指した、頼もしく優しい、父の姿だ。
思いだしては次々にあふれ出してくる涙を止められずにいると、東海林さんが突然声を上げた。
「定一が送検された時、俺は幸華とおかしいって訴え続けてたんだ。……けど、取り下げちまった。御船伊に、巨額の金をちらつかされて」