空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む

　しかし、そのままでいると、涙は溢れ出してしまった。ほろほろと流れて、止まらない。

　彼に、そばにいてもらえてよかった。こんなに、してもらえてよかった。

　そう思っていると、彼は不意に頭から手を離した。

　彼に、私の涙は迷惑だったらしい。そう思い、心が一気に落ち込む。しかし。

「あなたの強さに、いつも支えられてます」

　その言葉とともに、離れたはずの凌守さんの右手が、私の頬を包んだ。彼の節くれ立った指が、私の涙を優しく拭ってくれる。

　思わず、彼の右手に自分の左手を乗せた。温かい。安心する。大好きな、温もりだ。

　――好き。

　思わず口から飛び出しそうになって、飲み込んだ。彼が私を気にかけてくれるのは、彼が海上保安官だからだ。
　だから、私は代わりの言葉を探す。