空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 海上保安官の、白色の制帽の下。私はその瞳に引き込まれ、逸らすことができない。

「あなたが、好きなんです」

 トクリと、胸がひときわ大きく鳴った。
 信じられない言葉が告げられ、私はうまく反応できない。固まっていると、彼は言葉を続けた。

「八年前、あなたを海から助けた時、あなたはすっかり変わってしまっていた。当時はうまく反応できずに病室から逃げてしまいましたが、いつかあなたに再会できたら、俺がその気持ちを変えてやるんだと、ずっと思っていました」

 そこまで言うと、彼は少しだけ顔を和らげ、目尻を優しく下げた。

「でも、再会したあなたはひとりでも前を向き、健気に頑張っていた。そんなあなたが、昔と変わっていなくて、惹かれて仕方なかったんです」

 彼からの告白に、頬が熱くなる。だけど、もっと続きを聞きたいと思った。
 じっと見つめていると、彼は少しだけ表情を険しくする。
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