空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
「だけどあの時、あなたは恋に傷ついていた。俺の想いを伝えるには時期尚早だと思っていたら、あなたが『海を好きになりたい』と言いました。あなたのそばにいられるのなら、あなたの手助けをしない手はないと思いました」

 そこまで言うと、凌守さんは私の右手を不意にとり、両手でぎゅっと包んだ。

 急に感じた彼の体温にどきりと胸が鳴り、肩が吊り上がる。鼓動が早まり、彼にそれが伝わってしまうのではないかと思うくらい大きな音を立てる。

「そばにいて、分かったんです。あなたはいつも、笑顔で頑張っている。ひとりで戦って、打ち勝って、前に向かって生きている。そんなあなたを見ていたら、負けないように俺も頑張らないとと思いました。はじめは心配していたのに、気付けばいつも勇気をもらっていたんです」

 凌守さんはそこまで言うと、私の手を握った両手を胸のあたりまで上げる。

「好きなんです。どうしようもなく、あなたが好きなんです、海花さん」

 心ごと全部締め付けられるみたいに、彼の私の手を握る力が強くなる。
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