空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
「凌守さん……」

 私もだと伝えたくて口を開いたのに、うるさすぎるくらいの鼓動が邪魔をして、上手く言葉にできない。
 じっと見つめられ、彼への気持ちがあふれ出す。それで余計に、鼓動が早まってしまう。

 しばらくそのまま見つめ合っていたけれど、ふと私は思い出した。
 今日、凌守さんは麗波と二人きりで、ホテルにいた。あれは、なんだったのだろうか。

「凌守さん、麗波のことはいいんですか?」

 口に出したら思ったよりも棘のある声が出た。
 彼が怪訝な顔をしたので、私は「すみません」としゅんとした。
 すると、彼は私の手を離し、それから硬い顔をする。

「御船伊の娘ですね。もしかして、ホテルで会っていたのを、ご存知で?」

 こくりと頷く。すると、彼は「そうか」と小さく零した。

「なにか勘違いさせてしまったのならすみません。あれは、海上保安官として、彼女から聴取をおこなっていただけです」
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