空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
「え?」
「彼女は海外にいたので、聴取がこのタイミングしかできなくて。確かに、呼び出した際に彼女はなにか期待したようなことを言っていた気がしますが、俺ははっきりと伝えました。『あなたを軽蔑している』と」

 彼の言葉にはっとする。凌守さんは、憎しみを孕んだ視線を、どこかに向けていた。
 しかし固まった私に気づいたのか、はっとこちらに笑みを向け、着ていた制服の裾を摘んだ。

「この制服も、仕事じゃないと着ないですし」
「あ……」

 彼の言葉に、それもそうだと納得する。急に安堵すると、それを察したらしい彼に、再び右手を握られた。

「俺はあなた以外、好きになんてなりません」

 収まっていたはずの鼓動が、再びうるさく騒ぎ出す。
 どうしていいか戸惑っていると、彼の胸ポケットから着信音が聞こえた。彼は一瞬顔を引きつらせ、それから私の手を離す。

「すみません、基地からです」
「どうぞ、出てください」

 私がそう言うと、彼は申し訳なさそうな顔をして、スマホを取り出し耳に押し当てた。
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