空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
「これ、お守りです」

 ニュースなどで目にした、機動救難士の救難現場。その凄まじさを思い出し、少しでも助けになればと思ったのだ。

 彼ははっとした顔で私を見たが、すぐに笑みを浮かべてペンダントに手を伸ばす。

「ありがとうございます。あなたがそばにいてくれるのだと思えて、百万力です」

 それをしっかりと鞄に仕舞うと、彼は私に真剣な瞳を向けた。

「これをあなたに、必ず返します。告白の答えは、そのときに聞かせてください」

 そう言うと、彼は駅に向かって駆けていく。

 どうか、彼がたくさんの人を救えますように。

 私は去って行く彼の背を、さきほどまで彼に握られていた手をぎゅっと握りながら見送った。
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