空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 なんで? どうして?
 あのペンダントが、守ってくれると思ったのに。

「好きです。なのに、伝える前にいなくならないでくださいよ」

 ぽつり、ぽつりと想いがこぼれ落ち、その度に胸が痛んだ。
 好きだと言いたかった。なんで、伝えなかったのだろう。
 好き、好き、大好き。
 思えば思うほど、涙が溢れてくる。

「ちゃんと目の前で言ってくれよ」

 そんな声が聞こえた気がして、はっとする。涙を拭い、目を凝らした。
 桟橋の下から、大きな手が伸びてくる。その手がぐっとこちらに近づいてきて、私は思わず掴んだ。
 同時に、彼の体が見えてくる。

「凌守、さん……」

 ドライスーツとマスクの向こう側。こちらに笑みを向けるのは、間違いなく凌守さんだった。
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