空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 浜辺に足を三角に折り曲げて座っていた幼い私。隣に同じように腰掛けたパーカーのお兄さんに、私は母のペンダントを見せていた。

『深い青にもなるし、夕日に染まる赤にもなる、不思議なペンダントなんです。海と共に生きる、海が大好きな、父から母へのプレゼントだったそうです』
『へえ。じゃあ君にもきっと似合うだろうね』

 私の手の中のガーネットを見つめながら、お兄さんが微笑んだ。

『いえ、私にはまだ大人っぽすぎます』
『そんなことないと思うよ。ほら』

 彼は私の手からペンダントを奪うと、さっと首に着けてくれた。それを見て、彼は満足そうに微笑む。

『弟を助けた、君のお母さんはとっても格好良かった。俺の憧れなんだ。いつか、俺も海で誰かを守れる人になりたい』
『じゃあ、私のことも守ってくれますか?』

 尋ねると、彼は目を瞬かせる。私は遠い海を見つめた。

『父が格好いい船乗りなんです。だから私も、海に生きたい。泊里海花って名前も、船乗りにぴったりだなって思ってます』

 すると彼は、くすりと笑って言った。

『ああ、いつか君のことも、守る日が来るかもな』
『その時は、私のこと、守りきってくださいね』
『もちろんだ』

 ――幼い日の記憶。ずっと前に交わした、約束。
 凌守さんは、ずっとそれを、守ってくれていたんだ。
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