空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 目を瞬かせていると、凌守さんはペンダントのチェーンをつうっとなでる。

「やっぱりあなたに、よく似合う」

 そう言う彼が、どうしようもなく愛しい。再度涙がこぼれそうになったとき、不意に顎をすくわれた。

「ん……」

 そのまま唇を奪われる。毛布に包まれたまま、たっぷりと口づけられ、体全体が熱くなる。

「海花さん。人生をかけて、あなたを守らせてください」

 彼の言葉に、わけもなく涙がこぼれ落ちた。肯定を伝えたくて、首を縦に振る。すると、彼はもう一度私の唇を塞ぐ。

 海だけが、私たちを見ていた。
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