空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む

Epilogue

優しい彼との未来の誓い

　時は過ぎ、再び九月の頭。私は凌守さんと、マルマロスロードをデートしていた。

　彼との交際は順調に続いている。彼のおかげで、私はマリンアクティビティも楽しめるようになった。
　いつか、彼とダイビングにも挑戦してみたいと、今は思っている。

　御船伊重工グループは事件以降解体され、我がホテルやクルーズを含むアミューズメント事業は、別の大手グループ企業に買い取られた。
　造船部門は引き続き調査が続けてられているが、物流に大きな混乱を招き、その責任を負わされていることは言うまでもない。

　与流さんは自主退社し、麗波との結婚も取りやめたらしい。私にはもう二度と会うなと、凌守さんが二人に灸を据えたらしく、彼らが今どこで何をしているのか、私は知らない。

「今日はどこに行くんですか？」

　潮風に吹かれながら隣を歩く凌守さんに聞くと、爽やかな笑みを返された。私の右手と繋がれた彼の左手の力が、少しだけ強くなる。

「久しぶりに、あのカフェに行こうかと」
「いいですね！」