空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 それから、彼は胸元のポケットに手を入れ、小さな透明の小袋を取り出した。中には、失くしたと思っていた母の形見が入っている。

「先日、あなたを海から引き上げた際に手に握っていたものです。緊急搬送の際に渡すのを忘れてしまい、本日お届けに参りました」

 私は顔を逸らした。にも関わらず、彼は続ける。

「あの日、俺はこのペンダントの光の反射であなたを見つけることができました。あなたの命を――」
「いりません、そんなもの」

 彼の言葉にイライラして、ついそう口から漏れた。

 死んでしまえばよかった。そのペンダントが私を助けたというのなら、それは呪いでしかない。

 彼から緊張を感じたが、私は彼の方を向けなかった。否、向かなかった。
 彼の方を見たら、この気持ちを飲み込んでしまいそうだった。今は、どうしても吐き出してしまいたい。

「どうして助けたんですか。私なんて、死んでしまえば良かったのに」
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