空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む

4 予期せぬ再会と優しい提案

 潮先凌守。そう名乗った海上保安官は、私の手元に戻ったペンダントを見て優しく微笑み、同じ笑みを私に向けた。
 先ほど、彼に腕を掴まれた反動で落としてしまったそれを、彼は拾ってくれたのだ。

 彼は首にかけていたタオルで額の汗を拭う。それから姿勢を正し、口を開いた。

「先ほどは本当にすみません、入水自殺と勘違いしてしまうだなんて」

 彼は丁寧に頭を下げる。だから、私は慌てて口を開いた。

「いえ、あの日に勘違いさせるようなことをしてしまったのは私ですから」

 八年前、私は彼に心ない言葉を投げてしまった。自分の心を守りたい一心だったけれど、彼にとっては酷な言葉だったと思う。
 だから余計に、あの日のことを思い出す度に後悔していた。
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