空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
第二章

1 海の怖さと優しさと

『海への苦手意識を克服するお手伝いをしたい』

 そんな凌守さんからの提案を受け入れた二週間後の日曜日。今日、私は凌守さんと会う約束をしている。
 凌守さんのお仕事は二十四時間勤務。互いの休みを合わせたら、この日が初めて合ったのだ。

 真夏の暑さがようやく収まってきた九月半ば、午前十時。私は待ち合わせの駅前にやってきた。
 日曜日ということもあり、駅前はアルカディアポートと駅を挟んで反対側にあるマルマロスリゾートへ向かう人たちが溢れていた。

 マルマロスリゾートとは、私が子供の頃からある、大型のショッピングモールやアウトレットの入った複合施設の総称だ。
 観覧車や水族館などの施設もあり、バーベキューができる砂浜もある。さらに海辺は公園になっていて、飛行機や船、電車が見えるので昼間は家族連れに、夜はムーディーな雰囲気が若いカップルに人気のスポットだ。

「海花さん、こっちです」
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