空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 食事が運ばれてくると、それも写真に撮ってから食べ始めた。

「美味しいですね。やっぱり、海の幸はいいな」

 釜茹でシラスの塩気と風味がおいしく、生臭さはバジルが消してくれているらしい。ドライトマトの甘みがアクセントになっていて、より一層味に深みを出している。

 久しぶりに口にした懐かしい海の幸のおいしさ。忘れないうちにと味のメモを取っていると、凌守さんの視線を感じた。目線を上げると、彼は食事の手を止め、こちらに微笑んでいた。

「すみません、せっかく連れてきていただいたのに、仕事みたいになってしまって」
「いえ。頑張ってらっしゃるんだなと、思っていただけです」

 彼はにこにこしたまま続けた。

「『海への苦手意識を克服したい』というのも、お仕事のためでしたよね。海花さんの接客を受けた人は、きっと素敵な思い出を持って帰るんでしょうね」
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