空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む

　凌守さんの言葉は照れくさい。恥ずかしくなった私は、慌てて目線を食事に戻した。

「いえ、私はまだまだです。今はオープン前なので、コンシェルジュ同士でこの辺りの情報を持ち寄ってディスカッションしたりして、プランニングをしているところなのですが、……皆が持ってきてくれる情報は精査されていて、コンシェルジュのリーダーとして不甲斐ないです。私は、まだ海にも近づけない」
「でも、頑張ってるじゃないですか」

　彼の声に、はっとする。

「さっきだって、桟橋の上を歩けた。頑張り屋のあなたは、きっと素晴らしいコンシェルジュなんだと思います」

　優しい笑みと声色。凌守さんが言ってくれると、本当にそうなのだと自信になる。

「ありがとうございます」

　恥ずかしくて顔を上げることはできなかったけれど、なんとか口を開いて感謝を伝える。凌守さんがくすりと笑う声が、隣から微かに聞こえた。