空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 そんな様子に見惚れている間にも、ヘリコプターから次々にオレンジ服の海上保安官が甲板に降りてゆく。

 すごい。あれが、機動救難士――凌守さんたちの仕事だ。

 やがて、パーティー船から巡視艇に人々が移っているのが見えた後、巡視艇が間もなくこの桟橋に入るとスタッフ間に連絡が入る。私たちは乗員乗客のうち、負傷者以外の保護と案内を命じられた。

 海の上からこちらに向かって、巡視艇が桟橋にやってくる。救助に見惚れている場合ではない。ここからは私たちも、気合を入れて訓練に挑まなくては。

「アルカディアポートホテルに、皆様を一時受け入れいたします」

 案内役として、桟橋から降りてくる乗客に向かって声を張り上げる。船の立てる波を見たら海への恐怖心が胸を襲ったけれど、それではダメだと勇気を振るう。
 私は船から降りてくる一人一人に声をかけ、ホテルまで誘導した。

 避難役の乗客乗員全てをホテルロビー・ホールに収容し終わると、非常時には海保やその他機関とも連携することを約束し、実践訓練は終了した。
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