空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
「私たちは日々、海での災害や事故の際に駆けつけ、人命第一で救助を行うため訓練を行っています。しかし、海での事故は後を絶ちません。そこで、我々から皆様にお願いがあります」

 凌守さんはそう言うと、私たちのいるマルマロスロードを一度ぐるりと見回した。

「まず、海へ入る際は、救命胴衣の着用、それから有事の際はどうか一番に命を守る行動を。そして海での事故を発見したら、一一八番通報をお願いします」

 そう言う彼の瞳は真剣で、紡がれる彼の声からは使命感が伝わってくる。

「私たちは空から、船上から、皆様の救助に駆けつけます。ですがマンパワーには限界もあるのが現状です。海は楽しいところでもありますが、地球上の約七割をしめ、境目がありません。一度流されると帰ってこられないこともある」

 彼の声が硬くなる。私は思わず、拳を握った。

「だから、『少しくらい平気だろう』と海を軽く見ず、適切な装備をして、海でのレジャーを楽しんでいただきたい。それが我々、海で救助を行う機動救難チームからのお願いです」
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