空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 彼は言いながら、先ほど私に差し出した左手で首元をさする。その照れ笑いのような表情に、胸がトクトクと甘く早まった。

 先ほどの『つい』は、どういう意味だろう。
 私が子供っぽいからだろうか。危なっかしいから?
 それとも――。

 淡い期待が胸をよぎる。だけど、聞いて勘違いだったら恥ずかしすぎる。
 彼と気まずくなるのも嫌なので、私は何も触れずに「平気です」と返した。

「行きましょうか。今日はもうじき日が暮れるので、屋内にしました」

 彼は言いながら、マルマロスリゾートの商業施設の方へ歩き出す。
 手の繋がれていないこの距離が、少し寂しいと思ってしまった。
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