空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 やがて彼が連れてきてくれたのは、マルマロスリゾートの商業施設内にある水族館だった。

「来たことはありますか?」

 チケットを並んで買いながら、凌守さんが聞いてきた。

「いえ、ここ比較的新しいですよね。後輩の作った案内プランにも載っていて、来てみたいと思ってたんですけど、一人で来るのはどうしても怖さがあったので。嬉しいです」

 事実、〝海の中を泳ぐ魚〟を一人で見るのは抵抗があった。だから、こうして連れてきてもらえたのは、とても嬉しい。

「海花さんの初めて、もらいました」

 凌守さんは言いながら、爽やかに笑った。

 彼の笑みは、私の心をいつもほぐしてくれる。同時に、父のことを隠している後ろめたさを感じた。

 ううん、今は。凌守さんが、私にしてくれている今は、この厚意を素直に受け取らせてもらおう。

 そう思いながら、私は凌守さんと水族館の入り口に向かった。
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