空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 その後も色々な水槽を見て回り、最後に大きな水槽の前に出た。高さは七メートルほどだろうか。とても迫力がある。

 先ほどまでの小さな水槽との違いに、私は思わず立ち止まる。すると凌守さんは、繋いでいた手をきゅっと一度、強く握ってくれた。

「大丈夫です。俺がいます」

 彼のその言葉は、私に勇気をくれる。私は繋がれた手をきゅっと握り返し、水面の優しく揺れる大水槽の前へと歩み寄った。

 水面を照らす反射光が、薄暗い館内にゆらゆらと光のカーテンを作る。
 まるで海の中にいるかのような感覚がして、生きることを諦めたあの日の光景が脳裏にフラッシュバックした。
 息苦しさ、海水の冷たさ。惨めさ、愚かさ。私を罵った、麗波の笑み――。
 体がぶるりと震え、鼓動が嫌なふうに早まる。だけど、私は水槽から目を離さなかった。

「海花さん?」
「平気です。凌守さんが、いてくれますから」
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