この想いが、キミに届きますように。

吹奏楽部の演奏を遠くで聞きながら、ホームに電車がやって来るのをじっと待つ。


授業を終えて体育館前で藍と別れた私は、ひとりホームのベンチに鞄を抱えて座っていた。


週4で活動するバスケ部に所属する藍とどこの部活にも所属していない帰宅部な私。


相変わらず正反対だなぁ……、なんて思いながら、目の前に広がる空を眺める。


今日の空は、どこまでも澄んでいて綺麗……。


そんな青空と呼ぶに相応しい空をぼんやりと眺めていると、視界の端に見覚えのある姿が通り過ぎる。


……今のは、月島くん……?


自慢ではないが、視力検査でA判定以外を記されたことは一度もない私。


視界の端で捉えただけとは言え、その私が見間違いをするとは思えなかった。

< 20 / 54 >

この作品をシェア

pagetop