この想いが、キミに届きますように。
……誰か、探してる……?
ジロジロと見るのはさすがに気が引けてしなかったが、一瞬盗み見た先にいた彼は何やらキョロキョロと辺りを見回している。
……って、あれ?
こっちに向かって走って来てる……?
「田宮さん」
「月島くん……?」
私の目の前で足を止めた彼は、大きく息を吐いて呼吸を落ち着かせると、ニカッと眩しい笑顔をこちらに向ける。
「よかった、間に合って」
「?」
「これ、机に掛けっぱなしだったから渡したくて」
「あ……」
そう言って彼が差し出したのは、小学生の頃から私が愛用している、クローバーの刺繍が施された裁縫セットだった。
「これ……」
「実習の続き、帰ってからもするって先生と話してるの聞いてたから、なかったら困るかなと思って」
「……そのために、わざわざ……?」
「オレも今日は部活なくて帰るだけだったし、まぁ、そのついで……?みたいな」
彼は頬を掻きながら、照れくさそうに目を逸らした。