この想いが、キミに届きますように。
「はい!田宮さんの分!」
「えっ?」
「半分こなら気になんないよね?一緒に食べよう」
驚く私に眩しいくらいの笑顔を見せて、彼は言う。
……一緒に……。
「!……うん。ありがとう、月島くん……」
「どういたしまして」
私は受けとったそれを見つめて、ぽつりと口にした。
日が沈んで、少し肌寒い季節のはずなのに、なんだか心がポカポカと温かい。
……さっきまで、あんなに不安な気待ちでいっぱいだったのに。
月島くんは、そんな私の不安を全部吹き飛ばしてくれるんだ。
半分に割れたクッキーを口に含むと、口いっぱいに甘くて優しいバターの風味が広がった。
「美味しいね」と笑いかけられて、私もちいさく頷いて、「おいしい……」と口にする。
ホームに響き渡る、電車の到着を知らせるアナウンス。
流れるメロディーを耳にしながら、優しいクッキーを大事に大事に味わったのだった。
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